はいどーもーみっちーです!
前回パーキンソン病の疫学とか教えたけど、今回はパーキンソン病の摂食嚥下について考えよう!
食事が取れなくなったらどうなっちゃうの?
パーキンソン病の経過は、食事が取れなくなったら、唾液などが気管に入り、約60%の人が肺炎で亡くなっちゃって、肺炎の中でも※誤嚥性肺炎でお亡くなりになるという報告があるんだ!
※誤嚥性肺炎とは、飲み込んで消化器官に送られる予定のものが、気管に入ってしまうことです。
えっ!?亡くなっちゃうの!!??なんで!!!
それをこれから詳しく説明していくよ
はじめに
パーキンソン病は進行性疾患により、運動症状、自律神経障害、嚥下機能低下、仮面様顔貌などが出現します。
そこで嚥下障害が生じると、誤嚥性肺炎を起こす危険性が高くなり、生命の危機にさらされることがあります。
本日は嚥下について、パーキンソン病だとどのようなことが特徴的に起きるのかを説明していきます。
パーキンソン病の疫学や進行などはこちらを参考にしていください。
摂食嚥下の基礎知識
摂食とは、食物を認識して口腔内までに運び食塊形成までを指します。(認知期~準備期)
嚥下とは、食塊を口腔から食道へ搬送する一連の運動を指します。(喉頭期~食道期)
二つを合わせて摂食嚥下のプロセスが成り立ちます。
摂食嚥下のプロセスは、5期(4期と記載するところもあります)に分かれており、【認知期】、【準備期】、【口腔期】、【咽頭期】、【食道期】となっています。
【認知期】
どんな食べ物かを目で見て理解・認知し、その食べ物を道具や手を使って口まで運ぶまでの過程
【準備期】
食物は咀嚼によって粉砕され,唾液と混ぜられて食塊をつくり、舌上にまとめます。
【口腔期】
咀嚼末期になると食塊は舌で口腔後方部から咽頭に送られます。
【咽頭期】
このフェーズで嚥下反射が起こり,喉頭蓋が喉頭入口部を閉鎖し,食塊は口腔後部・中咽頭部から下咽頭部を経て,開大した食道入口部まで移動します。
【食道期】
食塊は蠕動により食道入口から胃の入口(噴門)まで移動します。
咽頭期嚥下は0.6~0.8秒の間に遂行され,その間に
が精密なタイミングで遂行されます。
その神経機構は、脳幹にあると考えられています。
口の中に入ると、舌咽神経および上喉頭神経(迷走神経)を介する抹消から延髄に知覚が入力されます。
その入力により、下位脳幹(延髄)あるいは脊髄に存在する中枢パターン形成器(centoral pattern generator:CPG)が働き、嚥下の運動が始まります。
このCPGをコントロールしている、力を調節しているのはどこなのか。
これには皮質延髄路と大脳基底核が関与していると考えられています。(これらの関与は明確にはなっていませんので参考までに)
・皮質延髄路の関与
役割としては、皮質-延髄投射による嚥下のCPGの閾値調節機構が存在すると考えられ、CPG活動化の閾値を相対的に低くあるいは高くすることよって、舌での知覚入力により嚥下の起こりやすさを調節していると考えられています。
・大脳基底核の関与
役割は、咽頭期の嚥下における関与は、ドーパミンを出すことで、迷走神経知覚線維に含まれるサブスタンスPという物質の量を維持し、延髄への知覚入力を行っています。
この線維は、嚥下の惹起性および、咳嗽反射に関与していると考えられています。
咽頭期には多数の筋が一定の時間の差をもって収縮と弛緩を行わなければならず、その活動パターンは極めて精密で再現性が高く、CPGにより制御されると考えられています。
嚥下は先に述べたようにCPGにより制御されていますが,呼吸CPG も下部脳幹(橋~延髄)に存在しており,嚥下CPGと解剖学的に重なり合っているばかりでなく,機能的にも両者は相互の神経結合により密接に影響し合っているため、絶妙なタイミングで気道を閉塞させ、食道に流れるようになっています。
パーキンソン病の摂食嚥下障害について
上記で嚥下のプロセスを記載しました。
そこでパーキンソン病は嚥下のなにが障害されるかを紹介していきます。
健常者とパーキンソン病の摂食嚥下の比較
【認知期】
パーキンソン病では、運動症状があるため、摂食の段取りがうまくいかず、介助を要することがあります。
また、食思の低下が非運動性症状として出現し、摂食を拒む場合があります。
その他、パーキンソン病での合併所でレビー小体型認知症を伴うと幻視や意識レベルが低下するため、誤嚥のリスクが高まるため摂食は避けたほうがいいです。
仮面様顔貌などで開眼できず、食物を目視できない場合は少し工夫が必要で、口頭で説明するなど食物を認知させる必要があります。
【準備、口腔期】
無動、寡動のため咀嚼、舌の運動が低下し、口腔内で形成した食塊を保持することができない場合があります。
運動機能を高めることが基本ではありますが、場合によって、食形態を変更することも考えなければなりません。
【咽頭期】
パーキンソン病は頸部が後屈姿勢になりやすいため、頸部が後屈していると感覚低下等により、食物の咽頭通過が障害され、嚥下することができません。
その場合、頭位、姿勢の矯正が必要で、下顎が引けた姿勢が有効でベッド上で行う場合や姿勢を変えることが困難な場合は、ギャッチアップ30°と枕のセッティングで姿勢をつくるとよいです。
【食道期】
座位保持ができれば、食道の蠕動運動により食物は自然に胃内に到達しますが、臥位しか取れない場合には、通過障害が生じますのでギャッチアップ30°で実施することが望ましいです。
パーキンソン病では上記のような障害が特徴として生じます。
上記のような障害、嚥下障害はざっくりいうと、飲み込めない、口の中に食べたカスが残りやすい状態で、それが器官に入って誤嚥して誤嚥性肺炎になります。
では実際に、どのフェーズで問題が起きているのかを説明したいと思います。
パーキンソン病の実際のデータ
このデータでは、パーキンソン病患者31例(年齢68±16、重症度1~4)に対して、VFを用いて残渣がどのフェーズで残ったかを調査したものです。
準備期では、ジスキネジアが強く、閉口障害が出現していたとのことで、口の中に取り込みができなかったようです。
口腔期では、咀嚼ができても、舌の動きが低下しており、残渣をまとめたり、咽頭までの送り込みが不十分になり口腔内に残渣が残ってしまいます。
咽頭期では、パーキンソン病では一番障害されるフェーズで、嚥下反射の遅延と喉頭蓋谷や梨状陥(梨状窩)に残渣が貯留してしまいます。
食道期では、15例とも上部食道の開大不良が生じていました。
これはVFでの検査で上記のような結果になりましたが、このVF結果と相関しているその他の評価はなにかを検討しており、年齢、罹病期間、hoehn & yahrの重症度分類、UPDRS、MMSE、FAB、嗅覚障害(OSIT-J)が検討されました。
UPDRSの嚥下項目で自覚しているのが13例のみで、フェーズによって異なりますがパーキンソン病の嚥下障害には十分に反映はされていません。
MMSE平均27点、FAB13.9点、OSIT-Jは平均3.7点と重度嗅覚障害を認めていますが、パーキンソン病の嚥下障害には、年齢、罹病期間、hoehn & yahrの重症度分類、MMSE、FAB、OSIT-Jの相関性はありません。
パーキンソン病における嚥下障害については、頻度は原疾患の重症度に伴って高くなることが知られていますが、嚥下機能の程度については必ずしも重症度や臨床症状と相関しないと言われており、結果も大体そのようになっていると考えます。
最後に
摂食嚥下について少しわかったかい?
わかったようでわかんない…
健常者とパーキンソン病の飲み込みの嚥下の違いがわかっても、だからなんで誤嚥するのかとか詳しい話がないからわかんないなぁ
そこは次回のお楽しみ!
今回知っておいてほしいことは
では次回は、なぜパーキンソン病患者さんは嚥下障害が起きるか、起きた場合どうしたらよいかを説明していきたいと思います!
では!
では!!!