はいどーもーみっちーです!
本日はパーキンソン病について紹介していくよ!!
- パーキンソン病とは
- パーキンソン病の診断
- パーキンソン病の疫学
- パーキンソン病の病態
- パーキンソン病の分類分け
- パーキンソン病の予後
- パーキンソン病の薬
- パーキンソン病の手術療法
- パーキンソン病リハビリテーションでの評価
- パーキンソン病のリハビリテーションについて
- ちょっとしたパーキンソン病の小ネタ
- まとめ
パーキンソン病とは
パーキンソン病は多くの場合、50~60歳代で発症し、脳の中脳という部分にある黒質の細胞が変性することにより、ドーパミンの量が減り、スムーズに体を動かせなくなる緩徐に進行する疾患です。
パーキンソン病の診断
パーキンソン病を確実に診断できる検査法は現在ではまだ確立していません。
しかし、パーキンソニズム(安静時振戦、固縮、動作緩慢、姿勢反射障害のうち二つ以上該当)が起きているうえで、補助的な要因があった場合にパーキンソン病だと診断するのが基本的な流れです。
2015年からは、診断基準をInternatinal Parkinson and Movement Disorder Society(MDS)が提唱し、今後は、こちらの診断基準が世界的に広く活用されていくものだと考えられています。
パーキンソン病の疫学
パーキンソン病の罹患率は欧米の報告では、14~19/10万人あり、日本では、10~18/10万人と大きな違いはありません。
この報告結果は、総数であるため、65歳以上と限定すると160/10万人と10倍にも上ります。この結果からも、年齢を重ねることで罹患率が上昇するというデータもあり、今後、医療水準の向上により、平均寿命が延びることで、パーキンソン病の罹患者が増大すると予想されています。
性差に関しては、世界的にみると男性>女性ですが、日本だけでみると、女性>男性という結果になってはいますが、大きな差がないため、あまり関係がないかもしれません。
地域別にも考えられており、罹患率が欧米>アジア>アフリカという報告がありますが、医療環境などの社会的要因が大きな違いを生んでいるという報告もありますので地域別に罹患するかと言えば一概には言えないかもしれません。
最近の研究では、パーキンソン病になるリスクを上げる要因としては、遺伝子因子が有力視されていることはテレビ等でも拝見できるほど有名になっています。
遺伝子因子を除いて、関連が強いと言われている要因は、便秘、気分障害、殺虫剤への曝露、頭部外傷の既往、農村生活、βブロッカーの使用、農業従事、井戸水の飲用、身体活動性低下でした。
反対に、リスクを低下させる要因として、喫煙歴、コーヒー摂取、高血圧症、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用、カルシウムチャネルブロッカー使用、アルコール摂取が挙げれています。
しかし、環境因子に関しては、あまり関係ないなどの報告もあり、決まった因子は今のところないと考えてもよさそうです。
パーキンソン病の病態
黒質緻密層の神経細胞内でチロシンからドーパミンが生成され、黒質線条体ニューロンの軸索を流れて被殻と尾状核に蓄えられるが、本症では、黒質変性によりドパミン生成が減少し、線条体はドパミン欠乏状態に陥って様々な運動症候が出現します。
黒質の内側にある腹側被蓋野から大脳辺縁系と前頭葉皮質に補給されるドパミンも減少して情動、意欲などの精神症状発言に関連し、さらに青斑核変性による乗るエピネフリンの生成低下もすくみ減少などの本症の一部の症候発現となります。
初発症状は、片側手指、手関節部の静止振戦で始めるものが多く、振戦は漸次同側下肢あるいは、他側上肢へと進展する。上下肢の筋強剛や巧緻運動障害で始まるものも片側発症のことが多いです。
運動症状が出現する前に、非運動症状が出現していることが多いという報告があります。
エビデンスが高い症状は、嗅覚障害、レム睡眠行動障害、便秘、気分障害の4つが挙げられていますが、症状がいつから出て、どれくらいの期間を経てその他症状が出るかは今後の検討項目となっています。
運動症状
パーキンソン病の方は体に出る特徴的な運動症状、【4大徴候】が存在します。
・安静時振戦:なにもしていないと手足が震えてくる。動くと止まる。
・無動、寡動:動きが遅くなる(動作緩慢)、表情があまり変わらなくなる(仮面様顔貌)
・姿勢反射障害(姿勢保持障害):体が前後に倒れてきたりして転倒しやすくなる。
・筋強剛(※固縮):筋肉のこわばりが増して、関節を動かす際に鉛管様、歯車様に動く。
※最近では、固縮は使わず、現在では「強剛」が用いられます。
その他特徴的な症状では、
・すくみ現象:発話や手指、足に出現し、どれも動きが小さくなったり、動作のしづらくなる。
・異常姿勢:特徴的な姿勢が出現する。体は前屈(前のめり)になり、顎が突き出たようになり腕が屈曲(曲がる)した姿勢になります。こちらの姿勢が重症化すると腰曲がり(camptocormia)や横に倒れるPisa症候群がみられます。
パーキンソン病の非運動症状
睡眠障害
・日中過眠:パーキンソン病罹患期間が長く自律神経・認知機能障害のある男性に多いです。薬の影響も少なからずあり日中によく寝ています。
・突発的睡眠:食事、会話、運転などの活動中に突発的に寝る病態で日中過眠と誘発因子は同様です。
・夜間不眠:これは頻度が高く、入眠困難、中途覚醒、早期覚醒がみられます。
・レム睡眠行動障害:根向きの筋緊張低下の機構が障害されることで夢内容に一致した異常行動が出現します。
・下肢静止不能症候群:夜間、入眠時に下肢の不快感や動かしたいという運動欲求を呈する病態です。
精神、認知、行動障害
・気分障害:この病態の程度は約4割でうつ、アパシー(無感情、意欲の低下)、アンヘドニア(快感の消失、喜びが得られるような事柄への興味の減退)、や不安などを総称としています。
・幻覚妄想:頻度は3~6割程度で、軽度な症状から始まり、明瞭な原子、さらに妄想へと徐々に進行します。
・行動障害:男性では、病的賭博、性欲亢進 女性では、買いあさり、むちゃ食いとなって出現することが多いです。
・認知機能障害:遂行機能障害、注意障害、視空間認知障害を呈したのちに記憶障害が出現し、ADLに支障をきたす場合が多いです。
自律神経障害
・起立性低血圧:血圧が下がりやすくなり、パーキンソン病の全病期でみられます。
・排尿障害:尿が出づらいというのは珍しく、だいだいは、失禁、頻尿などの過活動膀胱が多いです。
・消化管運動障害:最も頻度が高いのが便秘で、発症前か初期から多くみられます。
・性機能障害:勃起障害など
・発汗障害:発汗過多か発汗低下の両者がみられます。
・流延:嚥下回数減少、姿勢異常、無動の憎悪に伴う開口などが関与しています。
感覚障害
・嗅覚障害:パーキンソン病患者の約7~8割にみられます。診断以前に完成していることが多く、多くの患者が気づかないということが多いです。
・痛み:パーキンソン病患者の約6~7割にいるとされており、原因は様々で複数の要因が関与しているとされています。
その他の症状
・体重減少:頻度は5~6割程度で患者からの訴えが多いです。
・疲労:約4~6割が訴えるが発症機序は明らかになっていません。
パーキンソン病の分類分け
パーキンソン病は進行性の疾患のため、どのレベルまで病態が進行しているかを判別しなければなりません。判別することで、どれくらいの生活レベルなのかも推測ができるからです。
いつも病院などで使われている評価ツールは、【Hoehn & Yahrの重症度分類】です。
パーキンソン病の予後
治療を開始した時期によって予後は大きく変わってきます。
大まかな流れは
体左右半分片方に症状が出始め、両側に出現して、倒れやすくなって、動けなくなって寝たきりという流れです。
しかし、プロセスが変わると寝たきりにならずに済む場合があります。
まず、日内変動でwearing-off現象などが出現し、無動やすくみが生じ、姿勢反射障害が起きます。治療10年前後から転倒による骨折と認知症化を生じる場合があり、障害が憎悪しやすく寝たきりになってしまいます。
パーキンソン病で高率にみられる死因は肺炎です。パーキンソン病の死因の約60%は誤嚥性肺炎との報告もあり、寝たきりになると危険度は増します。
この話を示した図がこちらです。
そして、生存例などのデータもありそれを示すのはこちらです。
結果からすると、症例数も少ないということもありますが、認知症は予後を悪くして、骨折が加わるとステージⅣ~Ⅴになりやすいことがわかります。
反対になにもイベントがない場合は、ステージⅢ以下が半分程度いますので、認知症と骨折のイベントを避けるかどうかで予後が大きく変わってきます。
パーキンソン病の薬
・L-dopa:L-ドパは脳内に入り、芳香族アミノ酸脱炭酸酵素の作用でドパミンに変わり減少しているドパミンを補い抗パーキンソン病効果を出します。
・ドパミンアゴニスト:L-ドパの副作用を克服するために開発されたのが、作用時間の長いドパミン受容体刺激薬(アゴニスト)です。
・抗コリン薬:パーキンソン病ではドパミンの減少に伴って、もうひとつの神経伝達物質であるアセチルコリンが相対的に過剰になります。その作用を減らす目的で使われます。
・アマンタジン:線条体でのドパミン放出を促す働きがあるほか、ジスキネジアを抑制する効果が知られています。
・ドロキシトバ:すくみ足や無動の改善、起立性低血圧の改善効果が期待されています。これはもう一つの神経伝達物質であるノルエピネフリンの関与が示唆されています。
・ゾニサミド:てんかん薬ですが、パーキンソン症状を改善するのか、その理由は完全には解明されていません。レボドパとの併用で使う薬で、ウエアリングオフや振戦の残る時に特に有効です。
・イストラデフィリン:アデノシンはドパミンとバランスをとって作用している神経伝達物質の一つです。パーキンソン病ではドパミンの作用が弱くなるため、相対的にアデノシンの作用が強くなり、神経のバランスが崩れ、さまざまな症状が出てるため、アデノシンとドパミンのバランスを調整して、症状を改善します。
・モノアミン酸化酵素B(MAOB)阻害薬:ドパミン分解酵素であるMAOBの働きを阻害することによって、脳内のドパミン濃度を上昇させパーキンソニズムを改善させます。
・カテコール-O-メチル基転移酵素(COMT)阻害薬:L-ドパの抹消での代謝を抑制することで、L-ドパの効果持続時間を延長させます。
パーキンソン病の薬の副作用
ドパミンが過剰に出過ぎる場合があります。ドパミンが過剰に出ることで
・胃が刺激され嘔吐や悪心、食欲不振になります。
・運動の制御が適切にできなくなるために、体が勝手に動く、不随意運動(ジスキネジア)
・幻視、せん妄状態
・心臓が刺激されるため、動機や不整脈
長く服用することで起きる副作用は、
・wearing off現象:L-ドパ長期服用により、有効時間が1~2時間短縮してしまうこと。
・on – off 現象:薬の投与関係なく、症状が良くなったり悪くなったりすること。
・悪性症候群:いきなり中断、抗精神薬服用、脱水により、発熱などの自律神経症状、振戦などの錐体外路症状、意識障害などの精神症状をきたすこと。
これらの副作用が生じます。
パーキンソン病の手術療法
破壊術
・視床腹中間核破壊術
・淡蒼球内節破壊術
・視床下核破壊術
脳深部刺激療法(deep brain stimulation:DBS)
・視床腹中間核刺激療法
・淡蒼球内節刺激療法
・視床下核刺激療法
視床手術(破壊/刺激)
振戦に対して、80-90%と著効を示します。しかし、パーキンソン病の振戦以外の症状である寡動、歩行障害に対しての手術効果は少ないとされています。視床凝固/破壊術による合併症として反対側の筋力低下、両側手術を行った場合には呂律がまわりにくくなるなどの構音障害、知能障害などの副作用が出現することがあります。
淡蒼球手術
視床凝固/破壊術では改善することの難しい寡動・歩行障害に対して、ブレーキの役目をしている淡蒼球内節を定位脳手術法によって同定し、その一部に電気凝固などを行い、人工的にその機能低下を生じさせる手術法です(淡蒼球刺激/破壊術)
視床下核手術
視床下核の電気刺激がパーキンソン病の振戦・固縮・寡動・歩行障害といった多くの症状に有効性を認め、術後5年までの評価では、一時的にでも経口ドーパミン製剤内服治療が有効であった患者さんに限れば、80%の患者さんで振戦の改善もしくは消失、65%以上の患者さんで寡動、固縮などのパーキンソン病の主症状の著明な改善ないしは消失が得られると考えられています。経口ドーパミン製剤の服用量の減少は50%以上、内服中止は10%に認められます。つまり過半数以上の患者さんで症状の著明な改善が得られることが期待されると考えられます。
パーキンソン病リハビリテーションでの評価
ガイドラインにも出ていますが、
- 疾患特異的評価指標
- 身体機能に関する評価指標
- 生活の質(QOL)、精神機能に関する評価指標
は評価しておく必要があります。
今回は頻繁に使っている評価を紹介します。
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疾患特異的評価指標
◎パーキンソン病統一スケール(UPDRS) グレードA
〇パーキンソン病質問票(PDQ-39) グレードA
◎修正版Hoehn&Yahrの重症度分類 グレードB
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身体機能に関する評価指標
◎歩行速度、歩幅、歩行率 グレードA
◎ボルグバランススケール(BBS) グレードA
◎ファンクショナルリーチテスト(FRT) グレードA
◎Time up & go test(TUG) グレードA
◎falls efficacy scale(FES) グレードA
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生活の質、精神機能に関する評価指標
Medical outcomes study 36-item short-form health survey(SF-36) グレードA
Geriatric depression scale(GDS) グレードA
パーキンソン病のリハビリテーションについて
・理学療法全般(複合的運動) A
・筋力増強運動 B
・バランス運動 B
・全身運動 B
・トレッドミル歩行 A
・ホームプログラム 在宅運動療法 B
・感覚刺激 B
・太極拳 C1
・ダンス B
ちょっとしたパーキンソン病の小ネタ
iPS 細胞を用いたパーキンソン病に対する細胞移植治療ドパミン神経細胞の変性・脱落によるドパミン欠乏に対してドパミンを体外から補充する従来の方法とは異なり,失ったドパミン神経細胞を補充するというコンセプトが細胞移植治療であり,末梢血由来のiPS 細胞の中からドパミン神経前駆細胞を選び出して脳内に移植します。
パーキンソン病のモデル動物のサルの実験では観察期間において症状の改善だけでなく移植した細胞が脳内で生着していることや腫瘍化しないことがわかり,パーキンソン病患者に対する治験が進行中です.
まとめ
いかがだったでしょうか?
パーキンソン病の大きな概要を記事にしました。
パーキンソン病の治療をするうえでは、知っておいてほしい内容が入っており、今回参考にさせていただいたのはパーキンソン病のガイドラインだったり教科書だったりなので、スタンダードなお話になっていると思います。
少しでも役立っていただけると幸いです。
では!!