はいどーもーみっちーです!
実習ってめちゃめちゃ大変。
どれだけ優秀でもこれだけは守らないといけないことがあります。
それは
「リスク管理」
です!
患者さんに対して、どれだけ良いクリニカルリーズニングをしてもリスク管理を怠れば転倒させ骨折につながるような医療事故・ヒヤリハットが起こしたらその時点で実習が中止になるでしょう。
サッカーで言うと医療事故はレッドカード、ヒヤリハットはイエローカードだと考えてよいと思います。審判(スーパーバイザー)で左右されるとは思いますが。
そこで本日はリスク管理について触れていきたいと思います。
医療事故って?
医療事故…医療に関わる場所で、医療の全過程において発生する全ての人身事故
ヒヤリハット…患者に被害を及ぼすことはなかったが、日常診療の現場で“ヒヤリ”としたり“ハッ”とした経験を有する事例
医療事故の中には、アクシデントとインシデントと分けることができます。
患者に与えた影響度を分類したのが
分類 |
患者への影響度 |
内容 |
インシデント |
レベル0 |
間違ったことが発生したが、患者には実施されなかった |
レベル1 |
患者への実害はなかった(明らかの影響を与えた可能性を否定できない) |
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レベル2 |
処置や治療を行う必要はなかった(患者観察の強化、バイタルサインの経度変化で済んだ) |
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レベル3a |
簡単な処置や治療を要した(消毒、シップ、鎮痛薬の投与など) |
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アクシデント |
レベル3b |
濃厚な処置や治療を要した(バイタルサインの高度変化、人工呼吸器の装着、手術、 |
レベル4 |
障害が永続的に続く |
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レベル5 |
患者死亡 |
医療事故やヒヤリハットの原因・要因は?
原因としては、医療過誤やヒューマンエラー(人間の過ち)が挙げられているそうです。
医療過誤…診断ミス、手術失敗、薬の副作用など患者に対する医療的介入と管理に関して起きたこと。
ヒューマンエラー…人為的なミス。例えば患者を間違えたなど(これ名前が似たような人に良く起きる)
上記は、人間だれしも失敗しないのでなんてdoctorXみたいな人はいないので根絶は難しいとは思いますが、「うっかり」だったり「思い込み」による失敗は避けたいところですね。
医療事故・インシデント |
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種類 |
件数 |
転倒・転落 |
16(37.2%) |
誤薬 |
13(30.2%) |
離院・離棟 |
4( 9.3%) |
チューブトラブル |
3( 7.0%) |
皮膚トラブル |
2( 4.7%) |
検査 |
2( 4.7%) |
食事 |
1( 2.3%) |
注射 |
1( 2.3%) |
盗難 |
1( 2.3%) |
医療事故・インシデントの要因 |
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転倒・転落 |
認知力の低下 |
バランス障害 |
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運動機能低下 |
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単独での移乗 |
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ブレーキ,フットレストの忘れ,車椅子操作ミス |
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患者のできる,大丈夫という思い込み |
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行動途中に物を取るなど何かをしようとした |
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環境の変化 |
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誤 薬 |
セットミス |
配薬時の患者確認ミス |
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業務の繁雑化,多忙,作業の中断 |
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確認不足・手抜き,思い込み,うっかり |
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手順・ルール基本どおりに実施していない |
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知識不足 |
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患者の内服忘れ(自己管理者) |
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無断離院 |
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認知力の低下,記憶力の低下,失語症 |
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認知障害と看護介入のアンバランス |
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入院不適応(家に帰りたい) |
リハビリ時によく起こる医療事故、ヒヤリハットは上記のリハビリテーション看護の立場から引用させていただいた内容より、
歩行中の転倒、起居時のベッドプラットホームからの転落立ち上がり時にオーバーテーブルなどに手を置いて壊れてそのまま転倒。
ブレーキのかけ忘れなどによる転落。
あとは、点滴のつながっている管(ルート)を断線or抜去してしまうことやバルーンを体より上にし過ぎて尿の逆流などチューブトラブル。
実習生等なら、自分のことが精一杯でタスクがたくさんある中でこれも気をつけなければなりません。
患者の認知症の程度とどれだけ自分の病態を認識しているかがキーポイントになっている印象です。
介入時には、何が起きるか少しイメージトレーニングをしておくと、タスクが緩和されると思います。
医療事故、ヒヤリハットを事前に防ぐには
まずは情報収集です。例えば認知症の方に「座っててください」と言って立ち上がって転倒したとなると完璧に医療事故になります。
ここで知っていればとなる情報は、認知症の有無、動作レベルがわかっていれば、座っててくださいと放置はできないですよね!←ちなみにこの事例は裁判沙汰になっているようです。
この場合、だいたいどんな人かはカルテを見れば書いてあります。
カルテを見る時間がなかった場合は、スーパーバイザーに特徴を聞くこと!
理学療法を行う上で、患者に生命的危機的な状態にしないことが前提で
臨床家、実習生問わず、絶対に初めて入る人は、カルテを見て概ねどんな人か全体像を確認し、把握してから介入します。
どんなことをカルテで確認したらいいの?
- 氏名、年齢、性別、主病名
→患者の誤認、対応の誤りのリスクの軽減
- 現病歴
→経過によって対応が変わる場合がある。安静?ガッツり動ける?の判断
- 合併症・既往歴
→心疾患系により、離床の制限があるか、感染症を持っているかの確認
- 治療経過
→転院後など前施設での経過がわからないので報告書で確認
- 医師の記録
→医師が疾患に対して懸念していることなど書かれている場合があるので確認
- バイタルサイン
→看護記録に概ね書いてある。血圧、脈拍、体温。現在の対象者の調子(徐脈傾向とか頻呼吸、呼吸苦訴えアリのような)
- 意識レベル
→覚醒度によって、治療できる時間等ある場合があるため、どれくらいに介入すべきかの目安
- 認知機能
→指示に対して従命か、記憶できているかの確認
- 手術内容と治療計画
→禁忌や注意しなければいけない運動や操作がある場合があるため確認
- 検査・画像所見
→血液データ等で低アルブミンか、糖尿病か判断することで注意しなければいけないポイントを絞ることができるため確認。画像は患者の状況判断に役立つ。重症度など
- 服薬状況
→副作用、鎮静など離床時の覚醒に関わる問題が出ることがあるため確認。
- 病棟の状況(患者の安静度やADLがどこまで許可されているか)
→「病棟フリー」や「センサーマット適応」と書いてあるとどんな方か概ね検討できるため確認
- 生活歴・家族歴・社会歴
→独居していたか、家屋状況は、どのような仕事をしているか、家族に頼めることはあるかなどリスク回避のためや今後の方針決めに役立つため確認
- 生活状況
→食事は摂れているか、睡眠時間、昼夜逆転などの日中の生活状況について。また、つぶやいていたことを記載されていることもある。(趣味。関心事があったなど)
上記のことを確認できれば、患者の全体像、今後の方針決め、リスク回避につながると思いますので、少しまとめたものを明日以降に評価とともに記載予定。
確認すべき問診内容
上記はカルテでの確認すべき内容でしたが、今回は確認すべき内容です。
カルテ記載だと概ねのことはわかっても隠された事実があるかもしれません。
理学療法で治療するうえでは、何をターゲットにしなければならないかが明確にはなりません。
そこで確認すべき項目をあげていきます。
- 主訴
→めまいがする。時折景色が暗くなるなどの主訴や、目標についての主訴と様々だが目標となる主訴は、リハビリして達成しそうという時にまだ制限が取れていないのにも関わらず動き出して転倒も予測できます。
- 現病歴
→症状の程度、発症様式と症状の経過は、突然起きたのか、緩徐にか、脱髄性なのかなど。
- 現病の状況
→悪化することはあるのか(立ちあがりの時に痛い)、緩和することはあるのか(鎮痛剤使用したかなど)、寛解と憎悪の繰り返しなのか?
- 既往歴
→例として、人工関節を入れているか、ペースメーカーを入れているかなど。
- 生活習慣
→食事量、間食するのか、日常生活動作はどこまでしていたかなど
- 趣味
→趣味を聞いておくことで、そのことに集中してもらうことができるため、少しでもリスクは軽減できる。
- 心理状態
→記憶、うつ、不安か、現状をどうとらえているのか
- バイタルサイン
→問診とずれる可能性はあるが、バイタル測定をすることで、土肥アンダーソンの基準に当てはめてその人はリハビリするべきか否かを判断できる。
その他は、カルテ記載されている内容で、不十分だと感じたことを問診すると情報収集できると思います。
問診と、カルテの内容が重複することがありますが、直接聞いておくと詳細が聞けるかもしれないのでよいと思います。
このように情報収集しておけば、デイリーなどに、
「この方は、左上肢に点滴ルートがついており、院内見守りとなっているため、点滴棒把持した状態でルートにも留意しながら歩行介助、一緒に歩行したいです」などそれっぽいことを書いて提出すればいい話ができると思います。
それに加え自分のなかでどう接しようと整理がつくのでやってみてはいかがでしょうか?
まとめ
本日の内容は、情報収集をしっかりできれば、リスク管理の強化(イメージすることでタスク軽減)、危険予測をすることができるという内容でした。
リスク管理に特化した内容だったので、もっと問診やカルテには今後の方向性を決めるなどリハビリテーションにおいて、医療において大事なことが書いています。
そのことは忘れずに!
患者さんへの不利益(アクシデント以降の医療事故)になることが一番ダメですので!
集中して頑張っていきましょう!!
では!!!!
引用・参考文献
理学療法評価学テキスト