はいどーもーみっちーです!
みなさんの周りで、ベッドでたくさん寝てあまり動かないという人はいませんか?
そんな人は【廃用症候群】と言われる状態になっているかもしれません。
そこで
廃用症候群ってなに?
廃用症候群ってどんな症状?
廃用症候群ってどんなことしたらいいの?
といった悩みを解決したいと思います
廃用症候群って?
廃用症候群とは
Hirschbergが
『長期臥床により心身の活動性が低下したことによって生じる,精神を含めた全身の部位に起きる二次的障害の総称』
として用いました。
廃用症候群だからと言って、病態把握せず介入は進めていませんか?
総称ですので、リハビリするとなると、どの廃用が強いかなど検討する必要があります。
では廃用には主にどのような症状があるのでしょうか。
廃用症候群が健康に影響を与える主な症状は?
筋力低下、筋委縮
人によって違いがありますが、1 日に 2 ~ 3%の減少を来すのが 4 割、1 ~ 2%の減少を来すのが 3割、3 ~ 4%の減少を来すのが 2 割であります。
そこに筋力低下を防ぐために最大筋力の 20%の筋収縮を 1秒間行えば、7 割の被検者で 1 日あたり 0 ~ 1%の筋力低下に留まるが、残りの被検者では 1 ~ 3%の減少を来すと言われています。
筋の機能、形態の変化としては、前角細胞の減少、神経筋接合部でのアセチルコリン放出量減少、神経筋接合部やアセチルコリン受容体の形態変化、ジヒド ロピリジン受容体(DHPR)のmRNAや蛋白量増加、筋小胞体の機能変化、筋細胞内のカルシウムイオン濃度の増加、アクチンの troponinCやミオシンのH 鎖、L 鎖などの速筋型への移行、フィラメント間の位置関係の乱れなどが生じる。廃用性萎縮は抗重力筋に起こりやすく、遅筋(type 1)線維に多く見られ、遅筋線維の速筋化もみられる。
骨萎縮、骨密度減少
立位など重力や床反力による骨に加えられるメカニカルストレスが減弱すると、骨塩量と骨密度が減少します。
この現象は、廃用性骨萎縮あるいは不動性骨萎縮と呼びます。
20 週ほどの臥床安静により 30 ~50%の骨密度減少を来たした研究で、荷重・運動の再開により臥床期間と同程度の 20 週程で骨密度が元に戻ったことが示されています。
関節拘縮
(1)皮膚性拘縮皮膚の火傷,創傷,炎症などによる瘢痕拘縮によるもの.
(2)結合織性拘縮皮下軟部組織,靱帯,腱などの結合組織の収縮による拘縮.デュプイトラン拘縮など.
(3)筋性拘縮筋の短縮,萎縮によっておこる拘縮フォルクマン拘縮など.
(4)神経性拘縮弛緩性あるいは痙性麻痺による拘縮
(5)関節性拘縮滑膜、関節包、靱帯などが炎症、損傷によって収縮したもの.
動かさな いこと(Immobilization)による廃用性の関節拘縮は、これらのいくつかの要素が混在していると考えられるが、主体となるのは筋性、結合組織性、関節性拘縮であります。
2週くらいまでに関節包の厚さが減少し、疎性結合織から密性結合織に変化し、弾性線維が減少、滑膜表層と脂肪織の萎縮と線維増生が起こり、関節軟骨表面には線維組織が見られます。
長期固定では脂肪性滑膜が減少し、関節包・滑膜に密な線維増生が進行し、関節軟骨表面には膜様の肉芽ができ、滑膜との癒着や線維性強直が見られます。
固定から 4週までは筋要素が可動域制限の半分以上を占めるが、それ以降にはその他(主には関節構成体)の要素が可動域制限の主体となっていることがわかっています。
心肺機能低下・血液性リスク
左室心筋重量は週あたり 1.3 ~ 2.5%の減少が起こると報告されていれています。
このような心臓自体の変化、さらには末梢での酸素のやりとりを含め、最大酸素摂取量で表した体力は、臥床安静で 1 日当たり約 0.9%低下することが知られています。
酸素運搬機能に不活動が影響すると全身持久力低下が起こり、脱力感や易疲労性が生じます。
長期臥床で交感神経活動が障害されるため、下肢の血管収縮が不十分となり静脈還流量が減少、1 回心拍出量の低下をきたし脳血液量が低下します。
循環血液量低下と血管運動調節機能障害、心筋機能の低下が、起立性低血圧、めまいや失神症状を引き起こすとされています。
四肢筋群の筋収縮と弛緩ポンプ作用の減少が、血流の停滞や循環血漿量の減少を起こし、血液凝固能を亢進させ静脈血栓が生じます。
循環血液量は、安静臥床後2週間で血漿量の8〜12%、2〜4週間で15〜20%減少すると報告されています。
深部静脈血栓症(DVT),静脈血栓塞栓症(VTE),肺血栓塞栓症(PTE)などのリスクが臥床・安静により高まる.血漿量減少による粘稠性亢進などがリスクの高まります。
血栓は90%がヒラメ筋に生じるということも報告で挙げられている。
呼吸機能低下
不動による呼吸筋の筋力低下、胸郭の可動域制限は、一回換気量、分時換気量、肺活量、機能的残気量の低下を減少させます。
臥床により腹部臓器が横隔膜を押し上げることと、下側肺領域が鬱血、肺胞圧迫、分泌物貯留を招き、下側(荷重側)肺障害((gravitational) dependent lung disease/consolidation)を招きやすいことが挙げられます。
下側に貯留した分泌物が排出されなければ、細菌増殖の温床となり、沈下性肺炎(hypostatic pneumonia) に到ります。
精神、認知機能面低下
身体活動量の低下と感覚入力の減少が社会的孤立状態を作り出す結果、脳への刺激が減少し、脳の神経細胞が減少することで、脳機能の低下による意欲低下、集中力低下、感情鈍麻、うつ、知的機能の減衰をきたします。
時間や場所などの社会的・時間的手がかりについての感覚低下により、見当識、睡眠覚醒リズムが障害されます。
また、現実の認識が出来なくなると幻覚や妄想が出現しやすいとされています。
脳神経細胞の生存には一定以上 の脳血流量 (閾値)が不可欠で, それ以下の脳血流量では脳神経細胞が不可逆的に障害を受 けると言われています。
脳の萎縮は、加齢の進行に伴い脳動脈硬化が進む事により脳血流量の低下をもたらして脳萎縮になると言われています。
内部障害
①体重減少・低栄養・食欲低下・便秘
不動による交感神経系亢進の結果、腸管蠕動運動が低下し、括約筋収縮の増大による栄養吸収率低下から、体重減少、便秘が生じます。
臥床姿勢による食物の通過時間延長が食欲低下、食事量減少に影響し、低栄養状態が筋萎縮、骨萎縮を助長します。
低栄養、不動による持続的な圧迫により褥瘡ができてしまいます。
②尿路結石、尿路感染
不動による骨量の減少と骨吸収の亢進により高Ca血症、高Ca尿症が生じ、尿路結石が生じやすくなります。
膀胱結石・尿バルーンがあると膀胱粘膜を損傷し、細菌の繁殖により二次的に尿路感染を起こしやすくなります。
廃用症候群の状態から健康にするためには?
症状を上記で述べましたが、不動による、組織細胞の減少・萎縮が主な組織学的な問題になっています。
廃用症候群は改善するのかという疑問ですが、ほかの疾患・障害とは異なり、加齢による限界も加味すると、完全に回復とは厳しいです。
機能できる状態にまでなら戻すことが可能と示す論文も出ています。
ではどのような回復がみられるのでしょうか
認知機能を上げる!
廃用症候群によって低下している認知機能が刺激により回復すると言われています。
シナプス可塑性が促され、脳の神経ネットワークが再構築されて認知機能が向上すると考えられています。
手足の不使用は,脳の変化も引き起こす.Constraint-induced movement therapy の有効性の根拠として持ち出される学習性不使用(learned non-use)の概念で、手指の運動をすることで脳の活性化することが期待できます。
筋力をあげる!
筋力低下後の筋力増強に関しては、Müllerらの研究によれば,最大収縮を1 日1 回行うことで、最大筋力の 75%までは、週12%程度の増加率で筋力は増していくと考えられています。
筋力維持を図る場合には、その筋の状態が集中訓練期間後なのか、萎縮状態なのかにより、同じ負荷量でも筋力が増強するか否かが変わってきます。
最大筋力の20~35%のトレーニングでは、集中訓練期間後の筋では、筋力低下を来してしまいますが、筋萎縮状態の筋なら筋力増強していくと考えることができるとされています。
現在の筋の状況を踏まえた筋力トレーニングが必要です。
全く運動 を行わない場合には1日3%程度の筋力低下がみられ、日常生活において筋力を維持するには、最大筋力の20-30%の収縮を行う必要があるとされています。
この程度の筋力は通常の生活で発揮されうるものであり、筋萎縮を防ぐには他の廃用症候群の予防と同様にできるだけ安静臥床、非活動性を避けなければなりません。.
体は柔らかくする!
関節可動域訓練に関しては、研究面からは適切な訓練方法が明確にされていませんでした。
拘縮傾向の方には、沖田先生の論文を参考にされるとよいと思います。
呼吸機能を上げる!
呼吸筋力等に焦点を当てるよりは、下肢筋力・持久力増強、排痰・体位ドレナージに力をいれることが良いと言われています。
持久力等の運動が不動の筋肉,肺に及ぼす影響があるとされています。
人工呼吸器管理において肺炎率が臥位群では34%,半座位群では 8%と座位のメリットが認められる、などの報告もあり、積極的に介入することが望ましいとされています。
心肺機能をあげる!
ヒラメ筋静脈の血流うっ滞改善を図るために筋ポンプを働かせることが非常に大切なので,可及的早期に足関節背屈のストレッチ,可能なら歩行を行うと良いです。
全身持久力は①全身に血液を送り込む心臓のポンプの力と②手足の骨格筋が酸素を利用して収縮運動を行う能力の両者によって決まり、それが最大酸素摂取量という数字で表せます。
最大酸素摂取量が大きいほど、心臓のポンプ能力が高く、多くの酸素を利用して筋活動ができます。
足は第2の心臓といわれていますが、全身持久力を高めるためには、有酸素運動(エアロビクス)が重要です。
足の筋肉を主に使ってリズミカルに運動すると酸素が有効に使われ、心臓と肺が鍛えられます。
上記のように動くことで、不動が解消され内部障害も改善が見込まれます。
今後の対策は
酒井医療株式会社のホームページから引用
この図いいなぁと思って引用させていただきました。
これから取り組むべきことは【予防】です。
廃用症候群は、特異的な疾患から意欲低下から閉じこもりなどにより起きます。
疾患に関しては、生活習慣病と言われるものは生活習慣を改めるという手段ではありますが、ガンなどは防ぎたくても防げないもの。手術したあとは、医師のもと運動をしていただけたらと思います。
問題は、意欲低下、閉じこもりによる不動から起こる廃用症候群です。
この場合、負の悪循環に陥ってしまいます。
まず外出から心がけていきましょう。
少しでも歩くだけで変わるということは、上記でも書いていますので。
最後に
いかがだったでしょうか?
廃用症候群に至っては、病態の把握が必要で、偏に「廃用だから」と言って、歩かせるだけとか、筋トレするだけとか考えることをおろそかにしていませんか?
少しでも、筋や持久力に行きがちなところに神経学的・内臓的な側面も考えられるといいかなと臨床で思いました。
最後まで見ていただきありがとうございました。
では!